2015年7月15日水曜日

「きみはいい子」

商業ベースではなくて映画らしい映画、まずまず、納得してしまった呉美保監督の「きみはいい子」。原作となった小説があるとのことだが、ロケーションと自然光を重視したドキュメンタリー調の画調とオムニバス・プロットの群像劇は確かに終盤にかけて集約していく。尾野真千子が演じる子ども虐待母、高良健吾の児童らに翻弄される若い教師が主たる軸ではあるが、自閉症児童と認知症の老女のプロットもうまく編み込まれている。「宿題」としてだけならどうかと思うが、それぞれが希望の光を手繰り寄せる「抱擁」のしかけは有効に機能していたと思う。少子化の現代の実相にちょっと踏み込んでのぞき見たような文学的主題。総じて答えはないのだけど、一人の生徒の消息が明かされないこのエンディングもいいじゃない。

「きみはいい子」」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★☆
【お勧め度】=★★★☆☆