2014年4月29日火曜日

再び、♪北国の少女

ボブ・ディラン(Bob Dylan)の「北国の少女」(1963年の『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』収載)とサイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)の「スカボロー・フェア/詠唱」(1966年の『パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム』収載)は同工異曲で、1965年のアルバム・リリースで巷に知られることとなったイングランドのミュージシャン、マーティン・カーシー(Martin Carthy)版「スカボロー・フェア」を経過し、チャイルド・バラッド2番の「エルフィンナイト」とそのバリアント群までさかのぼることができるという話。「北国の少女」と「スカボロー・フェア」の旋律の違いは?、何故に、、、フランシス・ジェームズ・チャイルド氏が19世紀に収集・整理したバラッド集は、テクニカル面での時代の制約からか『梁塵秘抄』同様にメロディを記録しきれていないので、明朗ではないもののバリアントの範疇ではあるのだろう。この辺り、ウェブサイト「世界の民謡・童謡」収載の「スカボローフェアの謎」に詳しい(関心のある方は検索をお勧めします)。ディランもポール・サイモン(Paul Simon)もマーティン・カーシーに直接の面識と交渉があるという指摘が参考になった。この3人1941年生まれという共通点もあり。
に、しても、茂木健氏が『バラッドの世界/ブリティシュ・トラッドの系譜』(新装増補版、2005・08)で提起していたように著作権の登録とクレジットの問題が残るのだが。茂木氏はポール・サイモンに焦点を当てた指摘をしているが、ポール・サイモンの労としては、この時代を反映した「詠唱(Canticle)」を重ねたアレンジがミソか。云々、この英単語、気になってきた。一方、カーター・ファミリー、ウディ・ガスリーの延長上にいるディランの方も、この曲に限らずとうこともあり。

◆追記◆
ディランの♪フェアウェル(2014/06/01)

2014年4月17日木曜日

〈アイム・ノット・ゼア〉

ボブ・ディランの日本ツアーを記念して、録画ストックからトッド・ヘインズ監督の「アイム・ノット・ゼア」(2007)を再見、六層六様のボブ・ディランとしてパロディ表現を含んだ伝記語り、封切り時にも観たのだが、それ以降も読み解きの素養としては蓄積が進んでおらず、ほととんど新たな発見と感慨はなかったというのが率直なところ。フェイクの関係者インタビューなんかを含めて、ケイト・ブランシェット、ヒース・レジャー、クリスチャン・ベイル、リチャード・ギアら豪華なキャスティングと彼・彼女ら(ジュリアン・ムーア、シャルロット・ゲンズブール、ミシェル・ウィリアムズも)の演技に面白みがあり、ディランの音楽は使われているが、やはり読解の焦点は描出されたその時代と人物像の諸相である。

◆追記◆
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」(2014/06/19~20)