2015年3月18日水曜日

「悼む人」よりは「おみおくりの作法」だったね。

構えなく鑑賞して、「悼む人」(堤幸彦監督)よりは「おみおくりの作法」(ウベルト・パゾリーニ監督)の方がすんなり入ってきて、映画作品として完成度が高いものになっていたね。天秤にかけてみたのは、双方、死者のありし人生に想いを寄せ、弔う姿勢を描くことに現代社会のありようにあらがう提起を潜ませていると受け止めているから。個人的な見解ながら、尺数も「おみおくりの作法」はドンピシャ。ハリウッド映画、そして、最近の日本映画は品質とイメージを低下させる2時間超えの踏襲から脱却してほしいとの願いもあり。
「悼む人」は原作の小説に基づいた企画とのことだが、意味づけされた登場人物の多さと、その彼・彼女らキラクター設定、縦横な伏線が埋まっているかに見えるプロット等々が作りもの染みて、意図されたハーモニーに聞こえなかった。椎名桔平と井浦新とかキャスティングは妙にはまっていて芝居は見られるのだけれど。
一方で、「おみおくりの作法」の公私ともに孤独な自治体公務員を通して描出した主演男優劇の静謐なシンプルさにフィットしてしまう。プロットのヒントは「おくりびと」(滝田洋二郎監督、2008年)とか「生きる」(黒澤明監督、1952年)とか、言えなくはないのだけれども。ここでも自らを顧みてシングルライフの行く末に思いを馳せないわけにはいかないのだし。

「悼む人」の評価メモ
【自己満足度】=★★★☆☆
【お勧め度】=★★☆☆☆

おみおくりの作法」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★☆
【お勧め度】=★★★★☆

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