2012年8月21日火曜日

「桐島、部活やめるってよ」

夏休みは、お子様メニューが中心で選択肢が限られる中、「桐島、部活やめるってよ」(吉田大八監督、2012)。スクリーン鑑賞は基本、事前情報を入れないで臨んできて今回も然り。気分よく見終えられた、が結論であるものの、いろいろ考えるところが残ったのも確か。あるいは、そのような映画的脚色と翻案が加えられていた、ということか。
例えば、複数の視点で同じ時系列を繰り返すなどといった手法により青春群像劇としては、多義性を醸す心理描出に成功している。
原作は小説だというが、フジカシングル8による撮影に興じる映画部により主軸を置いたプロット展開で構成しているあたり、この監督も自主製作世代か(私はたぶん本作が初鑑賞)。古くは大林宣彦監督、近年は特に岩井俊二監督系等において、自主製作体験を通した物語描出が試みられるが、この映画の高校生はジョージ・A・ロメロ発のゾンビ偏愛で、絵に描いたような「映画オタク」として提示される。スティーヴン・スピルバーグ製作の「スーパーエイト」(J・J・エイブラム監督、2011)でも、ゾンビだった。ゾンビの波及力、増殖力、恐るべしである。
観ながら気になって考えたのは、時代設定かな。映画部の撮影機材は、たぶんシングル8のZXM500。フィルム生産終了は2009年?校舎と近隣の雰囲気はちょっと昔っぽいが地方都市のせいか(ただし、ことばは首都圏風?)。でも携帯電話普通に使っていたし、映画部員のアイドルは「満島ひかり」らしいし、2010年にはなっていない、まあまあ現代ってことなのかな。
あと、今どきの話題としてティーンエイジャーのいじめが起こっている心理環境を彷彿。大人目線で、「そんな小さな社会空間で。学校だけが社会ではない」といわれる、その壺の内での心持ちの行き詰まりが、よく表現されています。

「桐島、部活やめるってよ」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★★
【お勧め度】=★★★★☆

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