2014年6月1日日曜日

ディランの♪フェアウェル

アニタ・カーター(Anita Carter)のCDアルバム『RING OF FIRE』収載の「フェアウェル」(1964年録音)という楽曲はボブ・ディラン(Bob Dylan)クレジットになっていて、ディランの当時の公式盤には収録されていなく、いわゆる海賊盤の音源があり、近年の”公式”のブートレッグ盤シリーズにも収録されたという経緯であるらしいが、やっと、『THE SPIRIT OF RADIO』のCDシリーズ、『STUDS TERKEL'S WAX MUSEUM』ディラン本人のパフォーマンス(1963年)を聴くことができた。ラブ・ソングの範疇なんだろうが、ディラン・パフォーマンスはアニタとは別物、ワクワク感を醸すというかストロークがフォーク・リバイバルの鼓動を、歌声はチャレンジャーを体現している。
ライナー・ノーツによると、何と、「北国の少女」と同様に渡英時のマーティン・カーシー(Martin Carthy)らとの交流による感化が起点、イングリッシュ・フォーク「リビング・オブ・リバプール」(?)が元歌であるという。手持ちのトラディショナル・フォークのディスクを探ってみる。『ベスト・アイリッシュ・ソングズ』というコンピレーションCD集にローズ・マリー(Rose Marie)の歌唱版「ザ・リーヴィング・オブ・リバプール」が収録されていた。なるほどね、確かに、と興味惹起。云、でもイングリッシュ?、アイリッシュ?
ディラン・ソングのルーツ面白すぎだな。「北国の少女」再び、♪北国の少女、2014/04/29)といい、「ヒー・ワズ・ア・フレンド・オブ・マイン」〈ブロークバック・マウンテン〉を聴いてみる、2013/10/06)といい。そう、ウディー・ガスリー方式でトピカル・ソングに仕上げた「戦争の親玉(マスター・オブ・ウォー)」にメロディーを借用したという、ジーン・リッチー(Jean Ritchie)のアパラチアン・マウンテンズ・フォーク「ノッタムン・タウン」も最近、別のコンピ盤で聴くことができた。ノッチンガム(ノッチンガムシャー)辺りの地名なのかね、英国本家バージョンってあるのだろうか?あと、『Johnny Cash At San Quentin』(legacy edition)の「ウォンテッド・マン」が未解明(再び、ボブ・ディランとジョニー・キャッシュ、2013/07/14)だったね。

◆参考◆
YouTubeから引用、紹介です。「ザ・リーヴィング・オブ・リバプール」、グリニッジ・ヴィレッジの先輩格、クランシー・ボーイズ(The Clancy Brothers)のパフォーマンスで。

◆追記◆
『STUDS TERKEL'S WAX MUSEUM』を聴き進めると、1963年初頭の渡英でマーティン・カーシーに教わったバラッドが元歌の楽曲がさらにもう一つ。「ボブ・ディランの夢」は、「ロード・フランクリン」、または「レディ・フランクリンズ・ラメント」とか「ザ・セイラーズ・ドリーム」のタイトル知られている歌なのだそう。素直に、この曲への意識は薄かった、元歌系のバージョンを探してみいたが、今のところ行き当たらず。「北国の少女」とも1963年5月にリリースされた『フリーホイーリン』収載、スタッズ・ターケルのラジオ番組でのライブは同年4月26日となっているのも面白いところ。一番は、スタッズ・ターケルによるインタビューの聞き取りであるだが、、、
ライナー・ノーツに目を移してみて、さらにさらに、「ブーツ・オブ・スパニッシュ・レザー(スペイン革のブーツ)」マーティン・カーシーの影響下にあり「北国の少女」と兄弟曲を構成していることに、またまた驚く。こちらは1964年リリースのアルバム『時代は変る(ザ・タイムズ・ゼイ・アー・アチェンジン)』収載。この曲もマークしていなかった(『時代は変る』のだが、、、2014/08/28)。詩作としては、カーター・ファミリーはじめ米国でも広く歌われているブリテッシュ起源のバラッド、「ブラック・ジャック・デヴィッド(またはデヴィー)」にインスパイアということらしいが、この聴きたどり・検証は、また、あらためて。
『STUDS TERKEL'S WAX MUSEUM』の収載は以下の7曲(※印は公式スタジオ・アルバムでのリリースなし)。演奏の間にスタッズ・ターケルとの会話が挟まれている。ブロードサイド・バラッドやトピカル・ソングを昇華した詩作でボブ・ディランがフォークいわれる所以、あらためてであるがのめり込んでしまう。
 ①フェアウェル(※)⇒(「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」、2014/06/19
 ②はげしい雨が降る
 ③ボブ・ディランの夢
 ④スペイン革のブーツ⇒(♪スペイン革のブーツ、ってバリアントも、2014/08/02
 ⑤ジョン・ブラウン(※)⇒(♪ジョン・ブラウン、って誰だ?、2014/06/27
 ⑥フー・キルド・デヴィー・ムーア?(※)
 ⑦風に吹かれて⇒(ディラン、ファースト・アルバムの元歌対比集、2014/06/08

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