2015年6月1日月曜日

「駆込み女と駆出し男」

チャンバラ・アクションに特化するといった、ありがちな方向ではないという意味で時代劇の復興に曙光を感じた「駆込み女と駆出し男」。脚本も手がけた原田眞人監督の職人作品としては分かりづらさもあったけど、トータルでは及第かな。駆け出し男役の大泉洋は想像の範囲で適切なキャスティング、にも増して満島ひかりと戸田恵梨香は予想外の時代ものの世俗な役柄をあてがわれた新境地のパフォーマンスで見どころとも言える。
法による統治が浸透した現代においても、男女間トラブルの解決で社会資源としてシェルターが必要とされるケースもあるのだろうが、機能において、そのルーツに比肩。網野善彦氏が歴史学の概念として着目した「アージル」の代表例としての聖域・縁切寺がドラマの舞台として浮き彫りになったのは、確かに面白かった。原作者・井上ひさしの眼力か。
しかし、縁切寺、江戸期においては、確かに幕府の意図をもって制度の枠内で設置・存続してきたわけである。その聖性なるものの如何、歴史的なアジールの実像についての関心がおおいに喚起されたこともあり。

「駆込み女と駆出し男」の評価メモ
【自己満足度】=★★★☆☆
【お勧め度】=★★★☆☆

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