2012年5月22日火曜日

「わが母の記」

当面、暇になったからか、モチベーションの移ろいか、やっと最近、劇場スクリーンで映画を観る機会を増やせるようになった。先日は「わが母の記」。冒頭から矢継ぎばやの家族会話、原田眞人監督の演出が冴えている。描かれている昭和の暮らし、森田芳光監督の「阿修羅のごとく」(2003)を彷彿させ、落ち着いてしまう。VFXは用いているのだろうが、「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005)ほどではない。サイエンス・フィクション、アクション、ファンタジーやホラー系等々の濃厚な映画が隆盛かつ嗜好される現代にあって、この昭和の暮らしものの映像描出にこそ、映画的な興奮を覚えてしまう。
「東京物語」(小津安二郎監督、1953)へのオマージュ表現は、原田監督の志の表明か。「クライマーズ・ハイ」(2008)以来の好調を堅持、森田監督亡き後、昭和も徐々に薄れて行く中、「日本映画」の継続と展開で大いなる活躍が期待される人材である。

「わが母の記」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★★
【お勧め度】=★★★★☆

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