2014年11月9日日曜日

アンソロジーとしての、ザ・ベースメント・テープス

ブートレッグ・シリーズ第11集、待ちにまった、まさにブートレッグの中のブートレッグといえるボブ・ディラン(Bob Dylan)&ザ・バンド(The Band)の『ザ・ベースメント・テープス』、米国からの輸入盤でコンプリート版CD6枚を聴き通してしまった。若きディランに即したルーツ・ミュージックを考察していただけに、今年はタイムリーな出来事が重なり極みに。
1966年のオートバイ事故、ウッドストック、ビッグ・ピンク、地下室などのキーワードとともに、タイトルを含めて伝説化している海賊版『グレート・ホワイト・ワンダー』のシェイプ・アップした公認バージョンとして、あるいは1975年の正式なリリースで明らかにした一部音源によるアルバム『地下室』のアウト・テイク集として、とにかく成果が求められたというソング・ライターとしてのデモンストレーション仕事のバリエーションを慮って、等々、聴くアプローチもそれぞれでしょう。上記の理由により私の場合は、アンソロジーとしてが第一かなぁー。その時代、その境遇にして営まれたパフォーマンスの意味も考えつつ。
とりあえず、1曲のみメモ。ディスク自体がボーナスという6枚目、11番目のトラックが「ゴーイン・ダウン・ザ・ロード・フィーリン・バッド」。これは、ウディ・ガスリー(Woody Guthrie)が『ダスト・ボウル・バラッズ』(1940年)収載の「ブローイング・ダウン・ディス・ロード」でメロディーを転用した「ロンサム・ロード」が元歌なんだろうね。高田渡さんの歌にも同じ旋律があったよね?!ディランもまた『ラブ・アンド・セフト』(2001年)では別のタイトル・歌詞で録音しているとか?!!またしても変遷に興味。
とにかくに、この音源と豪奢なブックレット・写真集の読解は着手したばかり。確かに一生もの。国内盤のほうがハードル低かったかな。関連の出版物も期待しましょう。

◆追記◆
3枚目のディスクに2つのテイクで「アイ・シャル・ビー・リリースト」が。療養・隠遁期のディランにしてこその名演で、本当にすばらしい。マイ・コレクションでは『グレーテスト・ヒット第2集』(1971年)であったか、初めて出会った十代から印象深く愛着のある楽曲。ルーツ巡りでリフレクションしてきて、アメリカ音楽の揺籃で育まれたスピリチュアル、カントリー・ゴスペルの延長上にある楽曲であることがよく分かってきた。公式リリースはザ・バンド『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』(1968年)だったね。ブートレッグ・シリーズ第2集収載分との対比はという課題もあり。
『地下室』収載の「ユー・エイント・ゴーイン・ノーホエア(どこにも行けない)」も2テイクあり。同じく2テイクある「ミリオン・ダラー・バッシュ(百万ドルさわぎ)」はサビ旋律からして兄弟曲、この辺りはカントリー・テイストで好きなんだなぁー。
と、そこへ、特集本の第1弾「THE DIG Special Edition」が届く。日本人アプローチから読解の手立てに。楽しみは続く。(2014/11/18)
さらに、
ベースメント・テープスの源流(2014/11/21)
「貧者ラザロ」で、たどってみる(2014/11/26)

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