2013年2月19日火曜日

「東京家族」

小津安二郎監督「東京物語」(1953)トリュビュートとして、現在の「東京家族」(山田洋次監督)。想像していたよりは、よくできた作品だったとの感想。特に前半は小津監督をなぞった映画製作技法がたたみかけられ、かつて、山田監督自身が「反発」を公言していた小市民の世話話を描き、「東京物語」のリメイクと称しても違和感は覚えない。観終えてみると、やはり独特の「山田節」の台詞と人情喜劇感覚がベースになっていることに気づく。ほどほどに混雑した劇場での鑑賞、時間帯からか、若者といえる年齢層の観客は少なかったが、実際に中高齢層の方に感度が高い映画であるとも感じた。
「東京物語」で小津監督のミューズとして、自身の神話形成につながる主要なパフォーマンスを体現した原節子の一人の役を妻夫木聡と蒼井優の二人の役どころとして構築したのは、まさに山田監督のメッセージなのだろう。両映画の対比において、その違いを味わうのもよし。家族の中では小市民から最も遠い設定、普通感覚の装いが肝といえる。長男の医者、長女の美容師をはじめ、特段の悪意が強調されるわけでなく、押しなべて普通の人間を描くのは山田調で、一考してみるべき差異がうかがえる。東京暮らしとの対比で、その疲弊を憂う地域の生活への眼差しを忘れないのも山田監督ならでは。
エンド・タイトルはデジタル製作?、、、

「東京家族」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★☆
【お勧め度】=★★★☆☆
※日本映画好きな方にはプラスで。

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