2013年2月4日月曜日

ルーツをたどり、レスリー・リドルへ

渉歴のいきがかりで、『ロックを生んだアメリカ南部 ルーツ・ミュージックの文化的背景』(著者・ジェームズ・M・バーダマン、村田薫両氏)も読み通す。アメリカン・ルーツ・ミュージックを説いた本邦の書籍としては、私のひっかかりに丁寧に答えていただいた内容と満足してしまった。タイトルにあるロックとは、エルヴィスとディランに収斂させたキャッチな論考で、実際には「ロックを生んだ」の部分を削った書名が相当と受け止められる。個人的には、ほぼこの2年くらいの嗜好音盤に即して、①スピリチュアルとゴスペルを巡る黒人、白人それぞれの成り立ちと交歓の様子②アパラチアに根付いたバラッドの特性―等の周辺解説には納得。南北戦争後の歴史経過と地勢を踏まえた、ミシシッピ・デルタでのブルース、ニューオリンズでのジャズ誕生の描出然りである。
この書籍の論考が有益と感じたのは、読者は日本人と想定された噛み砕いた記述、共著者がジャンル音楽の専門家ではないゼネラルな人文学者、かつ一人は同地の出身であることで、キリスト教各派の成り立ちや人種や階層構成といった文化的背景を語るバックボーンが確かなことによる。
そう、カントリー・ミュージックのルーツ、カーター・ファミリーの音楽には、歌集めやギター・テクニックの手本として黒人のギター弾き、レスリー・リドル(Lesley Riddle)の貢献が大きいのでした。手持ち文献を参照してみると、レスリー、隻脚でつま弾く手指も2本失っていることに、あらためて驚く。深南部でないとはいえA.P.、カーター・ファミリーとレスリーの人間関係も。

『ロックを生んだアメリカ南部 ルーツ・ミュージックの文化的背景』の評価メモ
【自己満足度】=★★★★★
【お勧め度】=★★★★★
※これも新刊でなく、2006年の出版。

◆追記◆
♪ジョン・ヘンリー(2014/11/03)

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