2014年6月17日火曜日

「ぼくたちの家族」

石井裕也監督の新作で「ぼくたちの家族」。男の2人兄弟の子育てが終わりかけたかに見える郊外に住居を構える夫婦、「難病+ファミリードラマ」ジャンルということになるが、粗くくすみがちな映像トーンは何を表現しようとしているのか。開始早々の不安が増幅していく展開。そうだよなぁ、映画や近代文学の歴史って、「崩壊家族」の諸相だよぁ、、、リアル自分の立ち位置を顧みつつ低いモチベーションのままドラマは進んでいく。
而して、石井監督が描いた終結は、希望をつなぐ「家族再生」!??
映像トーンといい、車の凹み一つといい、監督の演出は行き届いている。であれば、この最初から崩壊していたと思われる家族に救いを与えたかに見える創作意図は何であったのか。長男の会社の上司であるとか、次男がセンカド・オピニオンを求め巡り会った医者であるとか、プロットの要所に人情味が顔を出すものの、例えば山田洋次監督の「東京家族」(2012年)といったふうに社会・コミュニティの不安定化が強調されいる訳でもなく、この家族が崩壊している深層も明朗には語られない。咀嚼することで味わいが出る仕上がりにはなっている。

「ぼくたちの家族」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★☆
【お勧め度】=★★★★☆

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