2012年7月16日月曜日

「オレンジと太陽」

先週のスクリーン鑑賞は結局、ケン・ローチ監督の御子息というジム・ローチによる「オレンジと太陽」一本のみ。戦後、1,970年ころまで、英国が「福祉」として実施した豪州への児童移民。出自の記憶と記録を失った移民サポートのため、社会的には忘れ去られようとしていたこの施策の解明に取り組んだ、ソーシャル・ワーカーの著作がベースといい、取り上げたテーマや映画の演出タッチは、さすがに父子と思わされるものであった。
国策ではあるものの、福祉・宗教など複数の団体もこの移民に積極関与したことが描かれ、告発される。さて現代を省みて、政策を動かす思想基盤の変化や、このテーマ自体にも興味が尽きないのだが、何よりも、わが国にも構造的に近似の話が多々あるのではとの、感慨が頭を巡り出す。
もちろん、戦前から戦後も、さまざまなシチュエーションと意味づけで行われた移民。あるいは、拘束と隔離を柱として実施されていた感染症や精神保健分野等の福祉施策、東アジアの諸国と軋轢が表面化する度に話題になる、戦中・戦前施策に関する歴史認識等々。それぞれのイベントに、その以前と以後があること、自分は知っているか落ち着いて考えてみることにする。

「オレンジと太陽」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★☆
【お勧め度】=★★★★☆

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