2012年7月28日土曜日

「少年は残酷な弓を射る」

今週は、「ブラック・ブレッド」(アグスティー・ビジャロンガ監督、2010)、「少年は残酷な弓を射る」(リン・ラムジー監督、2010)と、二様のダークサイドに踏み込んでしまった。テーマのありようはともかく、正直、ともに後味はよくなかった。
後者は、弓を銃に置き換えると、物語の中核を成す事件自体は、度々、米国で発生しているそれ。「生まれて来る子はモンスター?」、あるいは、コントロールできずに「モンスターに育ってしまったら」といった懸念や恐怖は、もしかすると親となる人はだれしも、脳裡に潜んでいるのかもしれない。問題は血(DNA)に帰結するのか。「ローズマリーの赤ちゃん」(ロマン・ポランスキー監督、1968)、「オーメン」(リチャード・ドナー監督、1976)などは、同系のプロット設定を有しているが、根本的に異なるのは、この映画では宗教が払拭され、自由を享受できる現代人の陥穽である心理で劇作を試みたこと。
最近もメディア報道でクロース・アップされている、わが国におけるいじめ問題で加害者側の親と重ねるという見方も可能か?
カットバック多様のシナリオ構造、事件・行為の前後を描出する婉曲な演出はアート系映画で常套だが、成功しているとは言い難い。そう、「ミュール・スキナー・ブルース」に始まる楽曲の使用もグラフィティ調で同様。主演女優のはまり具合には感心と称賛。

「少年は残酷な弓を射る」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★☆
【お勧め度】=★★★☆☆

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