2012年9月13日木曜日

「夢売るふたり」

「テイク・ディス・ワルツ」(サラ・ポーリー監督、2011)に続いて、表現を曖昧にとどめることを好む西川美和監督の「夢売るふたり」(2012)。旧作で初めて長編を観たのは「ゆれる」(2006)、巷の評判は相当の作品であるが、作品、評判ともに、私には腑に落ちなかった。「ディア・ドクター」(2009)で、概ね西川監督が表出したい世界観が分かったような気がして、その理解によって、「蛇イチゴ」(2003)も納得して観られる佳作だと思った。アイデンティティ喪失論とは異なる文学的なアプローチによる、リアル世界を生きる、外見「曖昧な日本人」の描出は、そのれ自体、日本人が好むテーマなのかな。
西川作品はキャスティングと演出の妙にも味があり、「夢売るふたり」も然り。しかしながら、西川ワールドとしてはエピソードと伏線が満載な分、収斂しない着地点で、寛解感に到達できなかったのは残念だった。

「夢売るふたり」の評価メモ
【自己満足度】=★★★☆☆
【お勧め度】=★★★☆☆

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