2014年9月3日水曜日

「マダム・イン・ニューヨーク」

ついこの前観たインド映画の感想(「めぐり逢わせのお弁当」、2014/08/23)で触れた、「日常会話での英語混ざり」がプロット展開にうまく織り込まれたのが、今回のインド映画「マダム・イン・ニューヨーク」(ガウリ・シンデー監督)。年に何度かは出会いたい、心の糧となる映画。今現在の国内外から報道として伝わる紛争・事件、国家・民族、居住地域や新旧のコミュニティあるいは家族内といった各階層での人間同士の対立を受け止めようとするにつけ、あらためて冷静なモチベーションに立ち返らせてくれる。また、自分史を顧みて母の心情を慮ったり。
インドから一人、姪の結婚式のためニューヨークを来訪するの主人公の女性は、経済成長と近代化の恩恵に浴する富裕ファミリーの主婦であり2児(長女が通うのはカトリック系ミッション・スクールだったかな?)の母。リベラルとコンサバティブの狭間に揺れる心情ドラマを内包したヒューマン・ストーリー仕上げが本作の味わいの深さ。「ジャッジメンタル」がキーワードとなりバランスが取り戻されたのかも。「めぐり逢わせのお弁当」ほどにはシリアスに向かわず、ポップな音楽とダンスがあり、コメディ調のスパイスも的を射ている。「めぐり逢わせのお弁当」で狂言回しを演じた弁当誤配送先の同僚青年に比するポジションとして、ニューヨークでマダムが決意して通うことにした英会話学校で迎えるゲイの講師の明朗な役柄がうまく機能している。
グローバリゼーションを好感的に受け止め多国籍・多民族の相互理解と絆に対する優しい眼差し、「スパニッシュ・アパートメント」(セドリック・クラッピシュ監督、2002)以来の遭遇かな。

「マダム・イン・ニューヨーク」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★☆
【お勧め度】=★★★★☆

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