2013年5月12日日曜日

♪キャン・ザ・サークル・ビー・アンブロークン

旅程その3、カーター・ファミリー続きで、「キャン・ザ・サークル・ビー・アンブロークン」が録音されたのは1935年。元歌である讃美歌「ウィル・ザ・サークル・ビー・アンブロークン」がつくられたのは1907年といい、バイ・エンド・バイ~のコーラス部分はほぼ踏襲しているものの、カーター・ファミリー・バージョンは、母の葬送という個人的な吐露を刻んだA・P・カーターの詩作に妙な味わいを感じる。ニッティ・グリッティ・ダート・バンド経由で邦版化したという、なぎら健壱氏の「永遠の絆」の日本語詞も、なかなかなものだと思う。
カントリー・ミュージック・シーンではA・Pの歌詞が歌われることが多いように思われるが、タイトル表記は、何故かほとんど決まって「ウィル・ザ・サークル・ビー・アンブロークン」。先のニッティ・グリッティ・ダート・バンドも1972年に始まるアルバム・プロジェクトのタイトルは『ウィル・ザ・サークル・ビー・アンブロークン』だ。モンロー・ブラザーズなど讃美歌歌唱はないわけではなく、黒人もゴスペル・シーンでカルテットなどが原詞を歌っているのを聴くことがあるもののの、ステイプル・シンガーズはA・P版だったな。こうした入り組みと交錯、それぞれの意味合いをつかまえるには、未だ至っていない。この辺はさらに探究。
とにかく、とりわけカントリー・シーンで歌い継がれてきたこの楽曲、カール・パーキンスがアレンジを施しジョニー・キャッシュが録音した「ダディ・サング・バス(パパが歌えば)」の派生形を生むなど、パフォーマンスへの取り込み、親しまれ方もさまざま。
讃美歌「ウィル・ザ・サークル・ビー・アンブロークン」の旋律はニグロ・スピリチュアルの「グローリー、グローリー(または、レイ・マイ・バーデン・ダウン)」に倣っていると思われるが、そもそもこの両楽曲の相関がよく分かっていない。ニッティ・グリッティ・ダート・バンド『ウィル・ザ・サークル・ビー・アンブロークン』の3作目(2002年)ではタジ・マハールが加わって、A・P&「グローリー、グローリー」バージョンとして演奏されていて、なるほど。

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