2013年5月9日木曜日

「天使の分け前」

ケン・ローチ監督の新作、さて、どう受け取るか、である。樽の中で熟成するウィスキー、毎年、2%が蒸発する行方の暗喩と社会奉仕活動で更生を目指す若者がクライマックスで演じた行動を重ね合わせたモチーフがタイトルの「天使の分け前」。コミカル・キャラクターを配しつつ、前半は社会のシビアな現実に目を向けた従前のローチ調。奉仕活動の取りまとめ役(わが国の保護司みたいだが、制度が異なるので、、、)のよしみを得て、ウィスキー(テイスティング)の魅力に開眼し、親ともなった、この若者のパーソナリティと行動規範が、後半において随分と違った印象を受ける。演出もコメディとサスペンスが交錯し、ベーシックなローチ・ファンにとって終着点の見通しに迷いが生じる。
たぶん、ウィスキー文化を評価しつつ、希少銘柄に多量の資金が投下される市場形成には揶揄の視点を持つというニュアンスで、オチるのだろう。
日本人倫理にはそぐわないかとな思いつつ、わが国との対比で、刑罰偏重ではない更生の仕組み、社会奉仕活動や被害者との対話プログラムなどを興味深く見た。モルトも味わいたくなりました。

「天使の分け前」の評価メモ
【自己満足度】=★★★☆☆
【お勧め度】=★★★☆☆

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