2013年8月23日金曜日

「さよなら渓谷」

パブリシティがらみのTV番組を見てしまっただけに気が進まなかったけど、「さよなら渓谷」(大森立嗣監督)。導入から展開は、よい意味でちょっと予想を裏切られた感もあり、ミステリー仕立てで期待を引っ張られる。原作の小説は吉田修一氏、本年公開の「横道世之介」(沖田修一監督)、2010年の「悪人」(李相日監督)ほか、映画化作品は多々あるよう。映画で拝見している「横道世之介」「悪人」なんかに共通して、現実社会でインパクトが強かった事件の側面をプロットに埋め込むという手法、オリジナル起源の技なのかな。映像展開を見つめる視線に記憶をよみがえらせて予断を育成、輻輳した感情をわき起こす効果は確かにある。現代人がちょと立ち止まった時の回顧と懐古をあつかった、「横道世之介」には、結構よい効果をもたらしたと思う。
「さよなら渓谷」では俳優陣のパフォーマンス・グレードが高い分、間延びした中間から収束にかけては、とってつけた作り物としての違和感が退屈に転じる。謎解きの役割はしかたないとしても、カット・バックのストーリー開示、つなぎのマズさが、納得できない原因ではと思った。文学でならもっと歩み寄れるかも。

「さよなら渓谷」の評価メモ
【自己満足度】=★★☆☆☆
【お勧め度】=★★☆☆☆

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