2013年8月28日水曜日

♪アイラ・ヘイズのバラッド

DVD『The Johnny Cash Music Festival 2011』(2012年)、アーカンソー州立大学のコンサートで、「アイラ・ヘイズのバラッド」を歌っているのが、歌中のアイラ・ヘイズと同じネイティブ・アメリカンのビル・ミラー(Bill Miller)。ハッと思い出した。そう、アイラ・ヘイズとは、硫黄島・擂鉢山の頂に星条旗を掲げた6人の「英雄」のうち米国本土に帰還できた3人のひとり。聞き流し過ぎか認識が薄かった。
第二次大戦の硫黄島を巡る攻防はクリント・イーストウッド監督によって2部作の映画が製作され、米国視点からの「父親たちの星条旗」(2006年)によって、「2度」掲げられた星条旗、「英雄」を必要とした米国の事情、祭り上げられた兵士たちの顛末が描かれたことで、おそらく、私だけでなく日本国民の多くは初めて「硫黄島の星条旗」の意味を知ったのだと思う。
「アイラ・ヘイズのバラッド」はフォーク・シンガーのピーター・ラファージ(Peter LaFarge)作というものの、やはり、1964年に初めて録音したジョニー・キャッシュの歌唱がよく知られる。ピート・シーガーやボブ・ディランにはあるらしいが、カバーはそう多くないなぁなどと思いつつ、今回聴きとめたのも再認識の一因。戦争後遺症といえるアルコール依存症が高じて命を縮めたアイラ・ヘイズ。アリゾナ・フェニックス渓谷のピマ族出身であり、その暮らしぶりから、志願、そして戦果、凱旋後が語られ、「ウィスキー・ドリンキン・インディアン」と呼んでも返事が返ってくることはない、、、などと、ストレートな表現のリフレインは、全体として冷めた哀愁を醸しだす。通俗なヒーロー讃歌ではなくして、なるほど、バラッドの文化なんだなぁと思う。このような歌を取り上げる、「歌うべき歌を知っている」とは一連のトリビュート企画で登壇したシンガーのだれであったかの言、これがジョニー・キャッシュの価値ってことか。
戦後まもなく「硫黄島の砂」(アラン・ドワン監督、1949年)が、アイラ・ヘイズら3人の英雄のカメオ出演を得て製作されているということだが未見。「父親たちの星条旗」とあわせて観直してみたい気持ちになってきた。

◆追記◆
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」(2014/06/19~20)

◆参考◆
YouTubeからの引用、紹介です。アイラ・ヘイズ本人のイメージで。

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