2014年8月7日木曜日

フォルサムからクレセント・シティにもどる

思い立って、ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)の評伝本『Johnny Cash : The Biography』(著作・Michael Streissguth氏)を読み始める。そうか、ジョニー・キャッシュがレコード会社との契約に向けてポイントとなった楽曲「フォルサム・プリズン・ブルースって、ポピュラーなジャズ系アレンジを手がけていたゴードン・ジェンキンス(Gordon Jenkins)作の「クレセント・シティ・ブルース」が元歌だったのか。ゴードン・ジェンキンスの主要なオーケストレーションの仕事は1950年代が中心で、ナット・キング・コール(Nat King Cole)、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)など王道ですなぁ。
別にもう少々調べてみると、ゴードン・ジェンキンスが1953年にレコード化したこの楽曲のさらなるルーツは、ブギウギ・ピアノマンのリトル・ブラザー・モンモゴメリー(Little Brother Montgomery)が1930年代に奏でた「クレセント・シティ・ブルース」の旋律にさかのぼることができるという。そこそこのジャズ・スタンダード愛好者でいたつもりであるが、「クレセント・シティ・ブルース」、スタンダードというほどには認知されていないよなぁーとか考えつつ。フォルサムもクレセント・シティもカリフォルニア州にあると思ったが、クレセント・シティはおそらくニューオーリンズの別称なのだろう。この楽曲の変遷も面白すぎ。
評伝本にもどって、列車、監獄、殺人、アウトロー、ブルーな心情など米国バラッドに特徴的に好まれる素材で編まれた「フォルサム・プリズン・ブルース」の歌詞には、ジミー・ロジャース(Jimmie Rodgers)の「ブルー・ヨーデルNo. 1 (T・フォー・テキサス)」を下敷きした部分もあるとも。
ジョニー・キャッシュ、実際にフォルサム刑務所等でのライブを行い、それらの音盤化でキャリアの中興を築くわけだから(カントリー・レジェンド、2013/06/24フォルサム・プリズンのレジェンドといえば、2013/06/26)、この曲のなおさら意義深さに想い入ってしまう。

◆参考◆
「クレセント・シティ・ブルース」、YouTubeから引用、紹介です。


◆余談◆
「クレセント・シティ・ブルース」と同じように意外とスタンダードではない楽曲で思い出したのは、「マレフィセント」(ロバート・ストロンバーグ監督)でエンディング・テーマで採用されていた「ワンス・アポン・ア・ドリーム」。もちろん、アニメーション版「眠れる森の美女」(1959)の主題歌のカバーであるが、例えば、「白雪姫」(1937)の「いつか王子様が」ほどには受け入れられていないよね。「ワンス・アポン・ア・ドリーム」のムーディなオールド・ファッション、私は好きです。作詞・作曲者はそれぞれクレジットされているわけだが、アニメ版はチャイコフスキーのバレエ音楽をベースにしており、この楽曲のその一編をなすワルツ(いわゆる、ガーランド・ワルツ)がモチーフ。「マレフィセント」、特にコメントはないけど、「眠れる森の美女」は見直したくはなる。

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