2013年6月24日月曜日

カントリー・レジェンド

カントリー・ミュージック界に伝説は多々あれど、やはり、ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)。自分自身もそうなのだが、たぶん「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(ジェームズ・マンゴールド監督、2005年)公開までは、日本でのキャッシュ認知度は限られて薄いものであったのだろうな。そのバラッドあるいはトーキング・ブルース調でストーリーを唄うカントリー・フォークといい、「罪悪感」に贖う心の戦いなのかゴスペルへの傾倒といったルーツ・ミュージックを愛する姿勢に裏打ちされた音楽性がすぐに好きになり、ロカビリー&ロック・シーンの揺籃期を担ったノベルティある独特のリズムにも吸引された。
ジョニー・キャッシュをまとまって聴く機会はなかったけど、廉価版などを利用して徐々に消化中。自らの薬物依存と違法薬物がらみの逮捕歴もあってか、アルコール依存症のジョージ・ジョーンズ(George Jones)を支援したとか、マール・ハガード(Merle Haggard)がカントリー・ミュージシャンを志したのは服役中、慰問コンサートでキャッシュの演奏に心動かされたのが契機などというのも、レジェンド・バリエーションの一画を成す。マール・ハガードが入所していたのは、サン・クエンティだった?と思い出して、このほど、CD2枚組みプラスDVDの『Johnny Cash At San Quentin』(legacy edition)を調達してしまう。
このライブは映画の導入で模写されたフォルサム刑務所でのライブ収録の翌年で1969年、この時点ではもちろんハガードは壁の外の人。付録ブックレットのインタビューによると、キャッシュとの出会いは1958年の正月(出獄は1960年)ということで、キャッシュの刑務所慰問活動は長きにわたるものであったことにあらためて感心する。『At San Quentin』は、『At Folsom Prison』のパフォーマンスに比べても遜色なく、音質はかえっていい感じ。カーター・ファミリー(The Carter Family,Maybelle & Sisters)、カール・パーキンス(Carl Parkins)、スタットラー・ブラザーズ(The Statler Brothers)と、ABCネットワークで同年スタートしたTVショーのホスト・メンバーの演奏・共演もほどよく採録され、それぞれよい感じだ。
そう、やはり映画でも描かれていたが、キャッシュテネシー2がゴスペルを演奏してサン・レコードのオーディションに臨んだ1954年、敏腕プロデューサーのサム・フィリップス社長の耳にとまったのは、ゴスペルの当てで演奏したオリジナルの「フォルサム・プリズン・ブルース」であった。解き明かしたくなるレジェンドの由来はつきないなぁ。

◆追記◆
フォルサム・プリズンのレジェンドといえば(2013/06/26)
フォルサムからクレセント・シティにもどる(2014/08/07)

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