2012年2月5日日曜日

〈スーパー8〉

映画界をフィルム力で支えてきた寡占・巨大企業、米イーストマン・コダック社が米連邦破産法適用を申請と、報じられたのは先月下旬であったか、デジタル化の進展状況を知らしめるニュースであった。映画の自主製作に少しは関わった経験のある映画ファンにとって、昨年公開の「SUPER8/スーパーエイト」(2011年)は、「物語の出来栄え」はともかく、ノスタルジーを醸し増幅する仕掛けに誘引力があった。パーソナルユースのムービー製作システム、コダック・スーパー8で自主製作に興じる主役・少年は、スピルバーグの子供時代を描いたかと紛う導入から展開が、トリビュート・トゥ・スピルバーグを基軸に、凡庸な言葉ではあるが「映画愛」に満ちている。
もっとも、製作チームの少年らが歌っていたのは、ザ・ナック(The Knack)の「マイ・シャローナ」、ラジオからはブロンディ(Blondie)が流れてくるなど、時代設定は1970年代末か1980年くらいで、たぶん監督のJ・J・エイブラムスの記憶。自主製作映画のシナリオコンセプトは「レイモンド・チャンドラー風ハードボイルドのゾンビアレンジ」で、特殊メイクのディック・スミスへのオマージュも。現在までの隆盛を誇る「ゾンビ」の定型をワールドワイドに普及したジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」は1978年、私どもの映画記憶でもある。

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