2013年9月22日日曜日

〈白鳥の歌〉~♪アイ・ソー・ザ・ライト

ジョニー・キャッシュ(Johnny Cash)が出演の映画は多々あるが、おそらくわが国で最もポピュラーなのはTVシリーズの一編「刑事コロンボ 白鳥の歌」(ニコラス・コラサント監督、1974)。ノーカット&ハイビジョン・リマスター版がNHK‐BSで放映されていたので思い出して、、そのやっと再放送で、何十年ぶりかの再鑑賞ができた。初見は70年代、NHKで最初の放送サイクルだったかな。その時は、この「カントリー歌手」がリアルでも大物と意識していなかったのは確か。
劇中でカントリー歌手を演じるキャッシュは、「サンデー・モーニング・カミング・ダウン」などオリジナルとは、ちょっと違ったニュアンスのパフォーマンスを見せているが、やはり肝の楽曲は、事件の標的となる妻が傾倒する教団のチャリティーでテーマ的に歌う「アイ・ソー・ザ・ライト」。いかにものカントリー調を沸き立てる、このハンク・ウィリアムス流のゴスペル、冒頭のコンサート・シーンに続き、ドラマのサブ・テーマのように要所に顔を出す。レコード版とライブ録音のコーラス・アレンジの相違を聴き分けたコロンボが、得意の心理戦で相手を追い詰める会話ネタも使っている。そして、オチもまた、カントリー歌手による同曲のパフォーマンスを評して、「人を殺せる人間ではない」、「私が捕まえなくとも自首したはず」などと、見透かして諭す台詞で決まる。
今回の再鑑賞の収穫、ジョニー・キャッシュをより身近に見知った上で観れたこと。加えて、「白鳥の歌」と付したタイトル、ギリシャの哲学者・プラトンの『パイドン』かな、、、とにかく、辞書的には、白鳥は死ぬ前に最も美しい歌を歌うというモチーフ。最初にTVで観た時は、タイトルの由来については考えなかった、無知だったな。それぞれ、齢を重ね相応に知見が、というところか。

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