2013年9月9日月曜日

「嘆きのピエタ」

人間社会あるいは、そのコアでとなる男女や家族の関係性を、例えば性愛といった表層にとどまらないモチーフで描き、普遍性のあるコンテンポラリー寓話として読み解きを鑑賞者に迫る作風の韓国きっての映画作家、キム・ギドク。わが国の映画芸術ファン自称者なら、たぶん8割方は注目しているのではと思う。「嘆きのピエタ」(2012)も、らしい出来栄えであった。清渓川??、そこってソウル?、他の韓国映画では、ほとんど出会う機会のない街景とその質感。「サマリア」(2004)などとともに、そのモチーフ、世界観はスコラ哲学と格闘しているようでもあり。
観ながら分かる、限りなく低予算であることにも驚き。あらためて映画の出来・質と、製作費は比例しないことを再認識する。偶発的な役者のパフォーマンスに頼らず、シークエンスがチープに流れないのが監督の力量だね。観終えた後、雑誌のインタビューで知ったが、「衝撃」重ねのラスト・シーン、路上を連綿とする痕跡はCGではないそう。
「アリラン」(2011)、見逃していて惜しいところ。

「嘆きのピエタ」の評価メモ
【自己満足度】=★★★★☆
【お勧め度】=★★★☆☆

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