2013年9月1日日曜日

「風立ちぬ」

「風立ちぬ」(宮崎駿監督)は、予想外(?)のヒットで興業収入は100億円を超える見込みという。1か月ほど前に鑑賞済みで、可もなく不可もなくながら、老境感覚が際立つ作家性の強い映画というのが感想。とりわけ、巷で話題になった喫煙表現の多用は、確かに記憶に刻まれ、いやが応でも、その意図を考えさせされる。喫煙場面の描出は確信的表現と思われるのが、ネットなど、見かけてた範囲で製作側から、この点について特にコメントがないのも気になっていたところ、半藤一利氏との対談本『腰ぬけ愛国談義』が出版されたのをみつけ通読してしまった。
解決されたわけではないが、半藤氏は脱煙の成功者、宮崎氏は依然スモーカーであることは分かった。あと、何よりもその生い立ち、家業が関連製造業であったことなど、宮崎氏が国産軍用機の製造という今回の筋立てを採用した背景も。それにしても、宮崎氏も、半藤氏も、元祖オタクだな。日本人らしさの一面。
両氏とも、考えていること、訴えていることは分かる反面、やっぱり、老々談義にとどまっていてよいのかという疑問ももたげる。映画はヒットしているものの、この清談は、やはり浮世離れと受け止められるであろうことが、わが国の現在ってことか。
映画で次に気になったのが、アラスカという菓子。こちらの謎解きのヒントは未収穫のままであった。
2日、ベネチア国際映画祭発で、宮崎監督の引退意向報道が。まあ、以上の理由で驚かないけどね。スタジオジプリの戦略??6日に都内で会見するとのことだが、喫煙描出とアラスカ、聞きただしてくれる記者がいるかが気がかり。

「風立ちぬ」の評価メモ
【自己満足度】=★★★☆☆
※大ヒット作なので自己満足度のみで

◆追記◆
主題歌、荒井由実の「ひこうき雲」は私の世代にとって、格別に思い入れのある曲。アナログ音源だそう。自身、レコードを買えるようになったころでもあったし。さて、世代の異なる方々はいかに聞いたか。海外上映、歌詞がストレートに伝わらないのが惜しいところ。
◆さらに追記◆
6日の宮崎氏の会見と、7~8日かけて五輪招致のプレゼンと首相会見などの対照。記憶にとどめねばである。宮崎氏は朝日新聞デジタルでの会見全容を拝見、「老い」を筆頭に前述の映画・対談本で感じたままだったが、分かりづらい部分もあったな。安倍首相の国内では聞いことがない言説は何であったのか?そう、「紅の豚」もヘビー・スモーカーであったね。こちらの方が、よりお子様メニューといえるが、今般のリアクションは影響力の拡大、受け取る社会状況の変化ということか。(2013/09/08)

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