2011年12月4日日曜日

マーダー・バラッドに秘められた謎

アメリカン・ルーツ・ミュージックの成り立ちを知る上で、今年お世話になったもうひとつの著作は東理夫氏の『アメリカは歌う。歌に秘められた、アメリカの謎』。①ジョン・ヘンリーと悲しみのナンバー・ナイン②アパラチア生まれのマーダー・バラッド③北行き列車に乗りたい―ニグロ・スピリチュアルに隠された暗号④ドアマットからの脱出―カントリーの中の女性たち―――の4章立てで、これまで音楽を聴きながらこもっていたモヤモヤのいくつかに実証的な解説を提示していただいた。「マーダー・バラッド」、1人称の殺人物語り歌などという、下層のジャンル・コンセプトが何故存在しているのか不思議に思わざるを得なかったのだから。既存の研究文献にとどまらず、合衆国当地で一次資料の探索を行った成果であることにも敬意を表したい。
パフォーマーとしてのキャリアが長い東氏。以前、TV番組でナッシュビルを訪問した東氏が、若き日にグランド・オール・オープリー(ライマン公会堂時代?)で「ウィル・ザ・サークル・ビー・アンブロークン」を歌い、ステージの袖で、何とその日が同じくオープリーデビューだったロレッタ・リンと励ましあったというエピソードを語っていたのを思い出す。この辺の話もあらためて聞いてみたいものです。

◆追記◆
♪ジョン・ヘンリー(2014/11/03)

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