2011年12月31日土曜日

《マイ・バック・ページズ》

本年、劇場で鑑賞できた映画に「マイ・バック・ページ」(山下敦弘監督)がある。平成の世、この物語が受け入れられる余地はそう広くないようだが、連合赤軍に象徴される政治的運動の急激な転化といった、ある意味、現代史の転換点である時代に、若い監督と脚本家らのスタッフが取り組んだ成果としては十分評価できた。
私的には、原作者の川本三郎氏には映画や音楽、街歩きなどで嗜好が重なる部分が多く、若干の思い入れがあるのは確か。川本氏の亡き妻への追想記『いまも、君を想う』の書評を読んでいた記憶がよみがえり、映画に前後して入手。『マイ・バック・ページ』の原作で見えなかった部分も分かり、また、服飾デザイン関係の仕事をしていた夫人との「似たものでない夫妻」の何気ない会話を思い出しつつの、楽しかった生活の回顧と、親しい人との別れることの切なさの率直な吐露に涙した。
表題の元、ボブ・ディランの楽曲は真心ブラザーズと奥田民生のコラボで邦版としてエンドロールでかかっていた。マイ・ライブラリーを調べてみると、レコード版で『グレーテスト・ヒット第2集』(1971年)のみであった。現在、試聴環境が整ってないだけに惜しいところ。

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